もし、あなたや大切な人の「これまで」が少しずつ変わって見えたなら。認知症を正しく知る、はじめの一歩(2025年9月版)

人生100年時代の、新たな「道しるべ」として

  • 「最近、親の物忘れが気になるようになった」
  • 「鍵をどこに置いたか、思い出せないことが増えた」
  • 「自分は将来、認知症になるのだろうか…」

人生100年時代を歩む私たちにとって、「認知症」は誰にとっても無関係ではいられない、しかし漠然とした不安を伴う言葉かもしれません。メディアではしばしばその深刻な側面が強調され、「何もわからなくなる病」「記憶がすべて失われる」といったイメージが先行しがちです。

しかし、その捉え方は、もはや過去のものとなりつつあります。近年の目覚ましい研究の進歩により、認知症は「不治の病」から、「生物学的に定義され、血液検査で早期にリスクを発見し、進行を緩やかにし、そして“共に生きる”ことができる対象」へと、その姿を大きく変えようとしています。

こんにちは。医師の髙﨑です。AIやデータサイエンスの視点から人の健康をシステムとして捉え、行動経済学の知見から私たちがより良い選択をするための方法を探求してきました。

この記事では、あなたや、あなたの大切な人が、万が一「認知症」という課題に直面した時に、冷静に、そして主体的に次の一歩を踏み出すための「知的武装」を提供します。単なる情報の羅列ではありません。認知症とは何かという本質から、その多様な姿、診断の最新パラダイムであるATN仮説、そして何よりも大切な「希望」について、科学的根拠(エビデンス)を道しるべに、体系的にお話しします。

この記事を読み終える頃には、認知症に対する漠然とした不安が、具体的な知識と冷静な視点に変わり、未来への新たな「地図」を手にしているはずです。

目次

そもそも「認知症」とは?―単なる「物忘れ」との決定的な違い

まず、最も重要な点から始めましょう。「認知症」と、加齢に伴う自然な「物忘れ」は、似ているようでいて本質的に異なります。

加齢による物忘れは「生理的な脳の変化」です。一方、認知症は「病的な脳の変化」です。脳の神経細胞が何らかの原因で壊れ、その働きが低下することで、記憶、思考、判断、実行といった認知機能に持続的な障害が起こる状態を指します。これは意志や気力の問題ではありません。例えば、「夕食を食べたこと自体を忘れてしまう」(体験の全てを忘れる)といった症状が現れ、徐々に日常生活や社会生活に支障をきたします。

2017年の内閣府白書に基づく推計では、日本の65歳以上の認知症の方は2025年に約700万人(約5人に1人)に達すると見込まれています (Cabinet Office, Government of Japan, 2017)。この見通しは、日本の認知症施策の基礎となっており、社会全体で取り組むべき課題であることを示しています。

認知症の主要な「顔ぶれ」を知る―原因と特徴で異なるタイプ

「認知症」と一言で言っても、その背景にはさまざまな病気が存在し、それぞれが異なる物語を紡ぎ出します。原因となる病気を知ることは、ご本人やご家族がこれから歩む道を理解し、最適なケアを選択するための第一歩となります。まるで、同じ「発熱」という症状でも、原因が風邪なのか肺炎なのかで治療法が全く異なるのと同じです。

日本の神経学会が監修した『認知症疾患診療ガイドライン2017』によれば、最も頻度が高いのはアルツハイマー型認知症で、全体の過半数を占めると報告されています (日本神経学会, 2017)。しかし、それ以外にも特徴的なタイプが存在し、時には複数が合併することもあります。ここでは、臨床現場でよく遭遇する主要な「認知症の顔ぶれ」について、その本質に迫っていきましょう。

認知症の主要な「顔ぶれ」を知る 原因と特徴で異なる4つの主要タイプ アルツハイマー型認知症 記憶の書庫が静かに蝕まれる 🗑️ アミロイドβの蓄積 (神経細胞の外のゴミ問題) 🛤️ タウの蓄積 (神経細胞の中の交通網崩壊) 🧠 海馬から始まり記憶障害が主症状 血管性認知症 脳の血流障害が引き起こす 📉 階段状の段階的な悪化 🧩 できる事とできない事が混在 (まだら認知症) 🩸 生活習慣病 (高血圧など) が危険因子 レビー小体型認知症 現実と幻が入り混じる 📈 📉 日や時間で状態が大きく変動する 👻 リアルで具体的な幻視 🚶 パーキンソン症状 (震え・こわばり) 前頭側頭型認知症 人格や行動の変化が先に現れる 🎭 社会的行動の変化 (自己中心的になる) 🔄 同じことを繰り返す常同行動 🤷 病気の自覚 (病識) がない

アルツハイマー型認知症:記憶の書庫が静かに蝕まれるように

アルツハイマー病は、認知症の原因として最もよく知られています。その本質は、脳内に「アミロイドβ」と「タウ」という二種類の異常なたんぱく質が、長い年月をかけて蓄積していくことにあります。

これを例えるなら、脳は高度に組織化された巨大な図書館のようなものです。

  1. アミロイドβの蓄積(図書館の外のゴミ問題):
    アミロイドβは、本来であれば脳の活動によって生じ、速やかに掃除されるはずの「老廃物」です。しかし、アルツハイマー病ではこの掃除システムがうまく機能せず、アミロイドβが粘着質の「プラーク(斑)」となって神経細胞の外側に溜まっていきます。これは、図書館の通路や建物の周りにゴミが山積し、職員(神経細胞)同士の連絡や本の搬入を妨害しているような状態です。
  2. タウの蓄積(図書館の中の交通網の崩壊):
    一方、タウは神経細胞の内側で、栄養などを運ぶためのレール(微小管)を安定させる役割を担っています。ところが、アミロイドβなどの影響でタウが異常にリン酸化されると、レールから剥がれてしまい、タウ同士で絡まり合った「神経原線維変化」を形成します。これは、図書館内部の棚や通路が崩壊し、本の整理や運搬が不可能になる状態に似ています。

この一連の変化は、記憶を司る「海馬」という領域から始まることが多いため、初期症状として「新しい出来事を覚えられない」といった記憶障害が前面に出てくるのです。病気が進行するにつれて、この変化が脳の他の領域へ広がっていき、思考や言語、判断力といった機能も徐々に失われていきます。

アルツハイマー病の進行プロセス 脳という図書館で起きる連鎖的な変化 1 アミロイドβの蓄積 図書館の「外」のゴミ問題
粘着質のゴミ(プラーク)が神経細胞の外側に溜まり、機能不全の引き金となる。
🗑️
2 タウの蓄積 図書館の「中」の交通網崩壊
細胞内部の栄養を運ぶレールが壊れて絡まり、細胞死を招く。
🛤️
3 病気の進行と症状の発現 記憶を司る「海馬」から この一連の変化が始まる
初期症状:
新しい出来事を覚えられない

進行後:
思考・言語・判断力などへ影響が広がる

血管性認知症:脳の血流障害が引き起こす「まだら認知症」

血管性認知症は、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害、いわば「脳の血流トラブル」によって引き起こされます。神経細胞そのものの変性ではなく、細胞に栄養や酸素を送る血管が詰まったり破れたりすることで、その先の神経細胞がダメージを受けるのです。

このタイプの特徴は、その症状の現れ方にあります。

  • 段階的な悪化: 大きな脳梗塞を起こした直後に、突然症状が現れたり、階段を一段降りるようにガクンと状態が悪化したりすることがあります。
  • まだら症状(まだら認知症): 障害を受けた脳の部位によって、機能が失われる部分と、保たれる部分が比較的はっきりと分かれる傾向があります。例えば、記憶力は比較的保たれているのに、計画を立てて物事を実行する能力(遂行機能)が著しく低下するといったケースです。そのため「まだら認知症」とも呼ばれます。

高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病が主要な危険因子であるため、これらの管理が予防、そして進行抑制に直結するという点が、極めて重要な特徴と言えるでしょう。

血管性認知症 脳の血流トラブルが引き起こす認知症 原因 🩸 血管 血栓 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害により 神経細胞がダメージを受けることで発症。 主な特徴 段階的な悪化 症状が階段を 降りるように悪化。 📉 まだら症状 できる事とできない事が 比較的はっきり分かれる。 🧩 危険因子 高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病が主要なリスクです。 🩺 高血圧 🩸 糖尿病 🍔 脂質異常症

レビー小体型認知症:現実と幻が入り混じる三つの特徴

レビー小体型認知症は、脳の神経細胞に「レビー小体」という異常なたんぱく質の塊が現れることで発症します。このレビー小体の主成分は「α-シヌクレイン」であり、パーキンソン病でも見られるものです。そのため、パーキンソン病と非常に近い関係にあります。

国際的な診断基準では、以下の三つが中核的特徴とされています (McKeith et al., 2017)。

  1. 認知機能の変動: 日や時間帯によって、理解力や注意力が大きく変動します。まるでテレビのチャンネルが急に変わるかのように、数分から数時間の間で、頭がはっきりしている状態と、ぼんやりして会話が成り立たない状態を行き来することがあります。ご家族からは「調子の良い時と悪い時の差が激しい」と表現されることが多いです。
  2. 具体的な幻視: 「部屋の隅に知らない子供が座っている」「壁に虫がたくさん這っている」など、非常にリアルで具体的な内容の幻視を繰り返し体験します。ご本人はそれを現実の光景として話しますが、必ずしも恐怖を感じているわけではないことも特徴です。
  3. パーキンソン症状: 手足の震え、筋肉のこわばり、歩幅が小刻みになる、表情が乏しくなるといった、パーキンソン病に似た運動症状が現れます。

これらの症状に加えて、一部の薬剤(特に抗精神病薬)に対して過敏に反応し、症状が急激に悪化することがあるため、専門医による慎重な薬物治療が不可欠です。

前頭側頭型認知症:人格を司る領域が変化する

前頭側頭型認知症は、思考、理性、感情、言語といった高度な精神機能を司る脳の「前頭葉」と「側頭葉」が限定的に萎縮することで起こります。他の認知症に比べて比較的若い世代(40〜60代)で発症することが多いのが特徴です。

このタイプの最も大きな特徴は、初期には記憶障害が目立たない代わりに、人格や行動の変化が前面に出てくることです。

  • 社会的行動の変化: 周囲の状況や他人の感情を顧みず、衝動的・自己中心的な行動をとるようになります。これまで温厚だった人が怒りっぽくなったり、社会のルールを守れなくなったりします。これは、理性のブレーキ役である前頭葉の機能が低下するためです。
  • 常同行動: 毎日同じ時間に同じ道を散歩したり、同じものばかり食べ続けたりと、行動が非常に儀式的・固定的になります。
  • 共感の欠如・感情の鈍麻: 他人が困っていても無関心であったり、感情表現が乏しくなったりします。

ご本人は病気であるという認識(病識)に乏しいことが多く、ご家族は「性格が変わってしまった」「わざとやっているのではないか」と深く悩まれることが少なくありません。そのため、精神科疾患と間違われることもあり、診断には専門的な評価が求められます。

診断のパラダイムシフト:ATN仮説からデジタルバイオマーカーまで

近年、アルツハイマー病と向き合う私たちの立ち位置は、天動説が地動説に変わったかのような、劇的な変化の渦中にあります。かつて、アルツハイマー病の診断は、すでにはっきりと現れた「症状」、つまり記憶障害といった認知機能の低下を評価することが中心でした。これは、いわば「煙が充満してから火事に気づく」ようなもので、脳内で起きていた根本的な変化に対しては後追いにならざるを得ませんでした。

しかし今、私たちは「煙」ではなく「火種」そのものを、それも燃え広がるずっと前の段階で捉えるための強力な武器を手にし始めています。その革命の中核をなすのが、脳内で起きている生物学的な変化、すなわちバイオマーカーで病気を定義し直すという、新しい考え方です。

脳内で起きている「病理」を直接可視化する―ATNフレームワークの本質

このパラダイムシフトを象徴するのが、米国の国立老化研究所とアルツハイマー協会(NIA-AA)が2018年に提唱した「ATN研究フレームワーク」です (Jack et al., 2018)。これは単なる分類法ではなく、アルツハイマー病という病気そのものの見方を変える、いわば「新しい物差し」です。

このフレームワークがもたらした最も重要な変化は、「アルツハイマー病(disease)」という生物学的な変化と、「アルツハイマー型認知症(dementia)」という臨床的な症状を明確に区別した点にあります。心臓の血管が動脈硬化で狭くなるのが「冠動脈疾患」という病気(disease)であり、それによって胸の痛みや心筋梗塞という症状(symptom/syndrome)が起きるのと同じ関係です。脳内にアミロイドβが溜まり始めた段階で、その人はすでに生物学的には「アルツハイマー病」ですが、まだ症状が出ていなければ「認知症」ではありません。

ATNは、この生物学的な変化を、三つの異なる視点から立体的に捉えます。

ATNフレームワークの本質 脳内で起きている「病理」を生物学的に可視化する新しい物差し 「生物学的な病気」と「臨床的な症状」を明確に区別 脳内の変化(アルツハイマー病)が始まっても、症状(認知症)がなければ「認知症」ではない A Amyloid アミロイドβの蓄積 🌱 病理の「始まりの合図」
● 最も早期に現れる脳の変化
● 神経細胞の「外」に蓄積
● 症状の15-20年前から開始
● 役割:超早期介入の標的
T Tau タウたんぱく質の蓄積 🔥 症状と直結する「燃え広がる炎」
● 神経細胞の「内」で変化
● 認知機能低下と強く相関
● 症状の直接的な原因に近い
● 役割:病気の進行度を評価
N Neurodegeneration 神経変性・神経細胞の損傷 🏚️ 病理が残した「爪痕」
●「A」と「T」の結果
● 神経細胞が壊れ脳が萎縮
● 脳の機能損失を直接的に示す
● 役割:進行ステージを判断

A (Amyloid): アミロイドβの蓄積 — 病理の「始まりの合図」

  • 何であるか?: アルツハイマー病の最も早期に現れる脳の変化です。脳の神経細胞の外側に、アミロイドβというたんぱく質のゴミが「アミロイドプラーク」として蓄積します。
  • なぜ重要か?: これが、その後に続く一連の病的変化の引き金(トリガー)になると考えられています。症状が出る15~20年も前から蓄積が始まっていることもあり、まさに「静かなる火種」です。
  • どう役立つか?: アミロイドPETという画像検査や、後述する血液検査で「A」の有無を調べることで、超早期段階での介入や、新薬(抗アミロイド薬)の適切な対象者を選び出すことが可能になります。

T (Tau): タウたんぱく質の蓄積 — 症状と直結する「燃え広がる炎」

  • 何であるか?: 神経細胞の内部で、骨格を支えるタウたんぱく質が異常に変化し、「神経原線維変化」として蓄積します。
  • なぜ重要か?: アミロイドβが「火種」なら、タウの異常蓄積は「燃え広がる炎」です。タウの蓄積量や広がりは、実際の認知機能低下の程度と強く相関することがわかっています。つまり、症状の直接的な原因により近い存在です。
  • どう役立つか?: タウPET検査や血液中のリン酸化タウ(p-tau)を測定することで、病気の進行度を客観的に評価したり、治療薬の効果を判定したりする上で重要な手がかりとなります。

N (Neurodegeneration): 神経変性・神経細胞の損傷 — 病理が残した「爪痕」

  • 何であるか?: 「A」と「T」の結果として、神経細胞が壊れ、脳が萎縮していく状態です。
  • なぜ重要か?: これは病理変化がもたらした、いわば「最終的な結果」であり、脳の機能がどれだけ損なわれているかを直接的に示します。
  • どう役立つか?: MRIによる脳の体積測定や、FDG-PETという検査による脳の糖代謝の低下、血液中の神経細胞の破壊マーカー(ニューロフィラメント軽鎖:NfLなど)を測定することで、「N」の程度を評価します。これにより、病気の進行ステージを判断し、予後を予測する助けとなります。

このATNという三次元の視点を持つことで、私たちは一人ひとりの脳内で起きていることを、より正確かつ早期に、そして立体的に理解できるようになったのです。

診断へのアクセスを劇的に変える―血液検査という革命

ATNフレームワークは強力ですが、それを評価するためのPET検査は非常に高額で、脳脊髄液検査は身体的な負担が大きいという課題がありました。誰もが気軽に受けられる検査ではなかったのです。

この状況を一変させたのが、近年の「血液検査」技術の目覚ましい進歩です。特に日本の富士レビオ社などが開発をリードしてきた高感度の測定技術により、ごくわずかな採血で、血液中に漏れ出てくる脳由来のバイオマーカーを正確に捉えることが可能になりました (Kaneko et al., 2024)。

  • 何を測っているのか?: 血液中のアミロイドβ42/40比(Aの指標)や、リン酸化タウ(Tの指標)などを測定します。特に、p-tau217という特定のリン酸化タウは、脳内のアミロイドやタウの蓄積を非常に高い精度で反映することが多くの研究で示されており、その診断精度はPET/CSF所見と高い一致・高精度と言われています。
  • どう役立つのか?: 現時点では、血液検査だけでアルツハイマー病の確定診断を下すものではありません。しかし、「脳の精密検査(PETや脳脊髄液検査)に進むべき方を効率的に見つけ出すための、非常に優れたスクリーニングツール」としての役割が確立されつつあります。これにより、診断にかかる時間、費用、そして身体的負担が大幅に軽減され、より多くの人が早期診断の恩恵を受けられる道が拓かれました。

注:血液バイオマーカー(p-tau217/Aβ42/40比など)は、2025年9月時点で日本では体外診断用医薬品としての承認・保険適用が未整備です。多くの医療機関では研究用(RUO)としての取り扱いに限られ、臨床診断に用いることはできません。実施可否は施設差があるため、受検希望時は専門医療機関に事前確認してください。一方、脳脊髄液(CSF)バイオマーカーやアミロイドPETは国内で実施可能で、適正使用の枠内で保険適用があります。

近年注目のブレークスルー:診断の未来を拓く新たな地平

ATNと血液検査に加え、ここ数年で診断のフロンティアはさらに広がりを見せています。

診断の未来を拓く新たな地平 近年注目のブレークスルー 📈 デジタルバイオマーカー 日常に潜む「認知機能のサイン」
何を見るか?
スマホ操作、会話の流暢さ、行動範囲、睡眠パターンなど日常の行動データ。

なぜ重要か?
非日常な検査(点)ではなく、日常生活(線)での評価が可能。微細な変化を早期に検知。
👁️ 網膜イメージング 眼は脳の窓
何を見るか?
網膜の神経線維層の厚みや微小血管の変化など、脳の変化と関連する兆候。

なぜ重要か?
眼科検診が入口となり、低コストで大規模な超早期リスクスクリーニングが実現可能に。
🧬 遺伝的リスク層別化 多因子から個人のリスクを予測
何を見るか?
単一の強力な遺伝子だけでなく、複合的に関わる多数の遺伝子を統合しスコア化 (PRS)。

なぜ重要か?
個人に最適化された予防策や早期検診の推奨が可能になる。

デジタルバイオマーカー:日常に潜む「認知機能のサイン」を捉える

これは、スマートフォンやウェアラブルデバイスから得られる日常の行動データを用いて、認知機能の変化を非侵襲的に、かつ継続的に捉えようというアプローチです。私自身の専門であるAIやデータサイエンスが、まさにその真価を発揮する領域です。

  • 何を見ているのか?: 例えば、スマートフォンのキーボードのタイピング速度やパターンの変化、マイクから得られる会話の流暢さや語彙の複雑さの低下、GPSデータからわかる行動範囲の縮小、ウェアラブルデバイスで測定する睡眠パターンの乱れなど、日常のあらゆる行動が評価の対象となります。
  • なぜ重要か?: 従来の認知機能検査は、年に一度、クリニックという非日常的な環境で行われる「点」の評価でした。しかしデジタルバイオマーカーは、日常生活の中での認知機能を「線」として、ありのままの姿で捉えることを可能にします。これにより、ごくわずかな変化の兆候を誰よりも早く検知できる可能性があります。

眼は脳の窓―網膜イメージングによるアプローチ

「眼は脳の窓」という言葉の通り、眼の奥にある網膜は脳と同じ中枢神経系の一部です。この網膜を、健康診断などで使われる光干渉断層計(OCT)といった非侵襲的な装置で撮影することで、アルツハイマー病に関連する変化を捉えようという研究が世界中で進んでいます。

  • 何を見ているのか?: 網膜の神経線維層の厚みの減少や、微小な血管の変化などが、脳内のアミロイド蓄積と関連することが報告されています。
  • どう役立つか?: 将来的に、眼科での定期検診が、アルツハイマー病の超早期リスクスクリーニングの入り口になるかもしれません。実現すれば、極めて低コストで大規模なチェックが可能になります。

遺伝的リスクの層別化:多因子から個人のリスクを予測する

アルツハイマー病の最も強力な遺伝的リスク因子としてAPOE4(アポリポプロテインE4)という遺伝子タイプが知られています。しかし、この遺伝子を持つ人すべてが発症するわけではありません。

そこで近年注目されているのが、ポリジェニック・リスク・スコア(PRS)です。これは、APOE4のような影響の大きな単一の遺伝子だけでなく、一つひとつの影響は小さいながらも、病気のリスクに複合的に関わる数多くの遺伝子のバリエーションを統合し、個人の遺伝的なリスクをスコア化する手法です。これにより、「あなたは遺伝的にリスクが平均より高いグループに属するので、より早期からの生活習慣改善や検診が推奨されます」といった、よりパーソナライズされた予防アプローチが可能になると期待されています。

私たちにできることは?―「予防」と「早期発見」という希望の光

脳内で起きるミクロな変化を捉える診断技術が進歩したからこそ、私たちの日常におけるマクロな選択、つまり「生活習慣」の重要性が、かつてないほど浮き彫りになっています。脳の健康は、ある日突然失われるものではなく、長年の生活の積み重ねが大きく影響します。

ここでは、科学が示唆する「希望」、すなわち予防と早期発見について、具体的なアクションに繋がるよう、一歩踏み込んで解説します。

科学が示す「認知症になりにくい生活習慣」— 脳の「レジリエンス」を高めるという考え方

認知症予防は、特定の万能薬を探す旅ではありません。それは、さまざまなストレスや病理学的変化に耐えうる、しなやかで頑健な脳、すなわち「脳のレジリエンス(回復力・抵抗力)」「認知予備能(Cognitive Reserve)」を生涯にわたって育んでいく、壮大なプロジェクトです。

国際的に権威のある医学雑誌『The Lancet』の専門委員会は、その包括的なレビューの中で、認知症の約40%は、私たちが生涯を通じて管理可能な12のリスク因子に起因する可能性があると報告しています (Livingston et al., 2020)。

時期リスク因子
若年期1. 教育歴の低さ
中年期2. 難聴
3. 頭部外傷
4. 高血圧
5. 過度のアルコール摂取(週21単位以上)
6. 肥満(BMI 30以上)
老年期7. 喫煙
8. うつ病
9. 社会的孤立
10. 運動不足
11. 大気汚染
12. 糖尿病

これらの因子は、一見すると無関係に見えるかもしれませんが、実は脳の健康を支えるいくつかの重要な柱と深く結びついています。

脳の健康を守る3つの戦略 🛡️ 1. 脳の血管を守る 「心臓に良いことは、脳にも良い」 脳は体のエネルギーの約20%を消費 する大食漢。そのエネルギーを供給 するのが脳の血管網です。 ▼ 血管を傷つける元凶 ❌ 高血圧、糖尿病 ❌ 肥満、喫煙 これらは動脈硬化を引き起こし、血管 性認知症やアルツハイマー病のリスク を高めます。 ▼ 脳を守るための投資 ✅ 日々の血圧管理 ✅ 血糖コントロール ✅ 禁煙 💡 2. 脳を刺激し、使い続ける 生涯にわたる知的好奇心は、脳内に 豊かな神経ネットワークを築きます。 これは、脳の「認知予備能(バック アップ機能)」を高めます。 ▼ 知的活動 📖 読書 🎹 楽器の演奏 🌐 新しい言語の学習 ▼ 社会的なつながり 🗣️ 友人との会話 🧑‍🤝‍🧑 地域活動への参加 社会的孤立やうつは、脳への良い 刺激を減らし、ストレスホルモンで 悪影響を及ぼすリスクとなります。 👂 3. 脳への「入力」を最適化 中年期の「難聴」を見過ごさない 難聴は修正可能なリスクの中で、特に 影響が大きい因子です。 ▼ なぜ耳の問題が脳に繋がるか? 1. 認知的負荷の増大 聞こえにくい音を理解しようと脳が 過剰にエネルギーを消費してしまう。 2. 脳への刺激減少と萎縮 音の刺激が減ることで、聴覚関連の 脳領域の活動が低下・萎縮する。 3. 社会的孤立の誘発 会話が困難になり、コミュニケー ションを避けるようになる。 ▼ 重要な予防戦略 聞こえにくさは脳の健康のサイン。 補聴器を適切に使い、脳への豊かな 音の入力を保つことが重要です。

1. 脳の血管を守る — 「心臓に良いことは、脳にも良い」

脳は、体重のわずか2%ほどの大きさでありながら、体全体のエネルギーの約20%を消費する大食漢です。そのエネルギーを供給するのが、くまなく張り巡らされた脳の血管網です。高血圧、糖尿病、肥満、喫煙は、この血管を傷つけ、動脈硬化を引き起こす元凶です。血管が傷つけば、脳への血流が滞り、血管性認知症の直接的な原因となるだけでなく、アルツハイマー病の病理変化(アミロイドβの蓄積など)を加速させることもわかっています。日々の血圧管理や血糖コントロール、禁煙は、心臓だけでなく、脳という最も大切な資産を守るための投資なのです。

2. 脳を刺激し、使い続ける — 「知的活動」と「社会的なつながり」

教育歴の長さがリスク因子として挙げられているのは、「認知予備能」の考え方と関連しています。教育を通じて、あるいは生涯にわたる知的好奇心によって、脳内に複雑で豊かな神経ネットワークが築かれます。この豊かなネットワークは、病理的な変化によって一部の神経回路がダメージを受けても、他の回路で補う「バックアップ機能」として働きます。

読書、楽器の演奏、新しい言語の学習といった知的な活動や、友人との会話、地域活動への参加といった社会的なつながりは、この神経ネットワークを常に活性化させ、強化し続けます。社会的孤立やうつ病がリスクとなるのは、こうした脳へのポジティブな刺激が減少し、ストレスホルモンが脳に悪影響を及ぼすためと考えられています。

3. 脳への「入力」を最適化する — 「難聴」を見過ごさない重要性

12の因子の中で、中年期の難聴は、修正可能なリスクとして特に大きな影響を持つことが示されています。なぜ耳の問題が、脳の問題に繋がるのでしょうか。複数のメカニズムが考えられています。

  • 認知的負荷の増大: 聞こえにくい音を理解しようと、脳が過剰なエネルギーを費やしてしまい、記憶や思考に使うべきリソースが奪われてしまう。
  • 脳への刺激減少と萎縮: 耳からの音の刺激が減ることで、聴覚に関連する脳の領域の活動が低下し、萎縮につながる可能性がある。
  • 社会的孤立の誘発: 会話が聞き取れないことからコミュニケーションを避けるようになり、社会的な孤立につながる。

もし、あなたやご家族に聞こえにくさを感じることがあれば、それは単なる耳の問題ではなく、脳の健康を守るための重要なサインかもしれません。適切に補聴器を使用し、脳への豊かな音の入力を保つことは、極めて重要な予防戦略の一つです。

「おかしいな?」と感じた時のための、最初の一歩

ご自身やご家族の些細な変化に気づいた時、「年のせいだろう」と見過ごしてしまいたくなる気持ちは、痛いほどよくわかります。しかし、その小さな違和感に向き合う勇気が、未来の可能性を大きく広げます。

ためらわずに専門家へ相談することは、決して「終わり」を告げるものではなく、むしろ「これからの人生をより良くするための始まり」です。

専門医の診察室では、何が行われるのか?

「もの忘れ外来」などの専門医療機関では、多角的な評価を行います。

  1. 詳細な問診: ご本人と、できればご家族から、いつから、どのような変化があったのかを詳しく伺います。「どんなことを忘れますか?」「日常生活で困っていることはありますか?」といった質問を通じて、変化の具体的な内容を把握します。
  2. 神経心理学検査: 長谷川式認知症スケール(HDS-R)やMMSEといった質問形式の検査で、記憶力、注意力、言語能力などの認知機能のさまざまな側面を客観的に評価します。これは知能テストではなく、脳のどの機能に変化が生じているかを見るためのものです。
  3. 身体診察・神経学的診察: 認知機能低下の原因となりうる、他の身体疾患や神経疾患がないかを調べます。
  4. 血液検査: 甲状腺機能の異常やビタミン欠乏など、治療によって改善可能な認知機能低下の原因を除外します。
  5. 脳画像検査: MRIやCTを撮影し、脳梗塞の痕跡や脳の萎縮のパターン、脳腫瘍などがないかを確認します(「N」の評価)。
  6. バイオマーカー検査(必要に応じて): アルツハイマー病が疑われる場合、前章で述べたようなアミロイドPETやタウPET、あるいは血液検査といった、脳内の病理変化を直接評価する検査(「A」や「T」の評価)が検討されることもあります。血液バイオマーカーは国内でも研究・一部実装が進んでいますが、臨床での取り扱いは施設により異なります

早期に相談し、正確な評価を受けることは、適切な治療やケアへの扉を開き、ご本人とご家族が安心して先の計画を立てるための、最も確かな一歩となるのです。

進化する治療とケア―疾患の「根本」に挑む時代

診断技術における革命的な進歩は、治療戦略にも地殻変動をもたらしました。私たちは今、症状を和らげるだけでなく、病気の進行そのものに介入し、その人らしい時間を少しでも長くするための、新たな時代の幕開けに立っています。

薬物療法の最前線:病気の進行メカニズムに直接介入する

従来のアルツハイマー病治療薬は、神経伝達物質を調整することで、残された神経細胞の働きを補い、症状を一時的に改善させる「対症療法薬」でした。

しかし近年登場した新薬は、アルツハイマー病の病態、すなわちATNフレームワークの「A(アミロイドβ)」に直接働きかけることで進行を遅らせることを目的とする「疾患修飾薬(Disease-Modifying Therapy, DMT)」です。これは、病気の生物学的な過程に介入するアプローチであり、治療の哲学を根底から変えるものです。

抗アミロイド抗体薬 — 治療の新たな地平を拓く

現在、この疾患修飾薬の中心となっているのが、アミロイドβを標的とするモノクローナル抗体薬です。

  • レカネマブ(商品名:レケンビ®): 2023年9月25日に日本で承認され、すでに実臨床で使われています。この薬剤は、アミロイドβの中でも特に神経毒性が強いと考えられている、凝集過程の初期段階にある可溶性のアミロイドβプロトフィブリルを標的とします。2週間に1回の点滴静注で投与されます。 その有効性は、MCI(軽度認知障害)を含む早期アルツハイマー病患者さんを対象とした第3相臨床試験(Clarity AD)で示されました。18ヶ月間の投与で、プラセボ(偽薬)と比較して臨床症状の悪化を27%抑制したことが報告されています (van Dyck et al., 2023)。一方で、注意すべき副作用としてアミロイド関連画像異常(ARIA)があり、同試験では脳浮腫(ARIA-E)が12.6%、脳微小出血(ARIA-H)が17.3%の患者さんに認められています (van Dyck et al., 2023)。
  • ドナネマブ(日本での商品名:ケサンラ® (Kisunla)): レカネマブに続き、2024年9月24日に日本で承認された薬剤です。ドナネマブは、すでに脳内に形成された不溶性の老人斑(アミロイドプラーク)を標的とし、除去する点に特徴があります。4週間に1回の点滴静注で投与されます。 第3相臨床試験(TRAILBLAZER-ALZ 2)では、プラセボと比較して臨床症状の悪化を約35%抑制する効果が示されました (Sims et al., 2023)。また、この試験では、脳内のアミロイドプラークが一定レベルまで除去された患者さんでは投与を中止するというユニークなデザインが採用されました。副作用であるARIAの頻度は、試験や対象集団によって異なりますが、レカネマブと同様に重要な注意点とされています。承認を受け、今後、各医療機関で適正使用に向けた体制整備が進められていきます。

これらの薬剤は、いずれも脳内にアミロイドβの蓄積が確認された、ごく早期のアルツハイマー病の患者さんのみが対象です。病気の進行を完全に止めたり、失われた機能を取り戻したりする「治癒薬」ではありません。しかし、早期アルツハイマー病の病態に介入し、進行を遅らせ得るという点で、これらは歴史的な一歩と言えます。治療の適応は専門医が慎重に判断し、投与中も定期的なMRI検査による安全性のモニタリングが不可欠です。

非薬物療法の重要性:その人らしさを支えるケアの基盤

疾患修飾薬という強力な武器が登場した今だからこそ、私たちは非薬物療法の持つ本質的な価値を再認識する必要があります。薬物療法が脳内の「病理」に働きかけるトップダウンのアプローチだとすれば、非薬物療法は、ご本人の心、身体、そして生活環境に働きかけることで、その人らしさを内側から支えるボトムアップのアプローチです。これらは対立するものではなく、両輪として機能することで、最高のケアが実現します。

認知症ケアの根幹は、「パーソン・センタード・ケア」という哲学にあります。これは、認知症を「脳の病気」としてだけ捉えるのではなく、その人の人生の物語、価値観、そして今感じている感情を尊重し、その人を中心に据える考え方です。興奮や徘徊といった行動・心理症状(BPSD)は、ご本人からの「言葉にならないメッセージ」かもしれません。痛み、不安、退屈、孤独といった、満たされないニーズの現れとしてその行動の背景を理解しようと努めることが、ケアの出発点となります。

この哲学に基づき、エビデンスが示されている具体的なアプローチが国内でも広く実践されています。

認知・感情へのアプローチ:

  • 認知刺激療法 (Cognitive Stimulation Therapy): グループでゲームやディスカッションなど、さまざまなテーマの活動を楽しみながら行い、思考や記憶を穏やかに刺激し、コミュニケーションを促す療法です。
  • 回想法: 昔の写真や愛用していた品、懐かしい音楽などを用いて、ご本人の楽しかった記憶や大切な思い出を語り合います。これは、失われかけた自己肯定感を回復させ、コミュニケーションを円滑にする助けとなります。
  • 音楽療法: 言葉でのコミュニケーションが難しくなっても、音楽は感情や長期記憶に直接働きかける力を持っています。歌ったり、聴いたり、楽器を演奏したりすることで、心の安定や意欲の向上につながります。

身体・生活へのアプローチ:

  • 運動療法: ウォーキングや体操などの定期的な運動は、身体機能の維持だけでなく、気分の改善、睡眠の質の向上、そして認知機能の低下を穏やかにする可能性も示されています。
  • 作業療法: 着替え、食事、入浴といった日常生活の動作(ADL)を、その時のご本人の能力に合わせて、できるだけ長く、安全に続けられるように、環境を調整したり、補助具を使ったり、具体的な方法を一緒に考えます。これは、ご本人の自立と尊厳を守る上で極めて重要です。
  • 環境調整: ご本人が混乱せず、安心して過ごせるように、家の中の表示を分かりやすくする、夜間の照明を工夫する、危険なものを取り除くといった物理的な環境の調整も、重要なケアの一部です。

これらのアプローチは、ご本人の生活の質(QOL)を維持し、その人らしさが輝き続ける時間を支えるために、不可欠なケアの基盤なのです。

まとめ:病気ではなく、「その人」と向き合うために

認知症の科学は、ATN仮説や血液検査の登場により、大きな転換点を迎えました。私たちは今、症状が出るずっと前から脳の変化を捉え、病気の根本に働きかける手段を手にし始めています。

しかし、技術がいかに進歩しても、私たちが向き合うべきは、病気のメカニズムだけではありません。その人自身がこれまで歩んできた人生、大切にしてきた価値観、そして今感じているであろう不安や混乱です。認知症になっても、その人の尊厳や感情、そして「その人らしさ」が失われるわけではありません。

この記事でお伝えしたかった最も重要なメッセージは、「正しく知ることは、恐れを乗り越える力になる」ということです。最新の科学的知見は、私たちに新たな武器と希望を与えてくれます。日本政府も「認知症施策推進大綱(2019年)」を発展させ、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法(2024年施行)」を策定するなど、社会全体でこの課題に向き合う動きが加速しています。

まずは、あなた自身の健康的な生活習慣を意識することから。そして、もし周りに気になる方がいれば、そっと寄り添い、共に専門家への扉を叩く勇気を持つことから。私たちの未来を変える旅は、そこから始まります。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の医薬品・治療法の効能効果を保証・推奨するものではありません。治療の適応・方法・用量・安全性は個々の患者さんで異なります。医療上の判断は、必ず担当の専門医とご相談ください。

参考文献

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  • 共生社会の実現を推進するための認知症基本法 (2023) Act No. 65 of 2023.
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この記事を書いた人

AI physician-scientist・連続起業家・元厚生労働省医系技官・医師・医学博士・ハーバード大学理学修士・ケンブリッジ大学MBA・コロンビア大学行政修士。
岡山大学医学部卒業後、内科・地域医療に従事。厚生労働省入省、医療情報技術推進室長、医療国際展開推進室長、救急・周産期医療等対策室長、災害医療対策室長等を歴任。文部科学省出向中はライフサイエンス、内閣府では食の安全、内閣官房では医療分野のサイバーセキュリティを担当。国際的には、JICA日タイ国際保健共同プロジェクトのチーフ、WHOインターンも経験。
退官後は、日本大手IT企業にて保健医療分野の新規事業開発や投資戦略に携わり、英国VCでも実務経験を積む。また、複数社起業し、医療DX・医療AI、デジタル医療機器開発等に取り組むほか、東京都港区に内科の仁クリニックを開業し、社外取締役としても活動。
現在、大阪大学大学院医学系研究科招へい教授、岡山大学特定教授、ケンブリッジ大学ジャッジ・ビジネススクールAssociate、広島大学医学部客員教授として、学術・教育・研究に従事。あわせて、医療者のための医療AI教室「Medical AI Nexus」を主宰。
社会医学系指導医・専門医・The Royal Society of Medicine Fellow

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